第6回「事理一致」運動 研究会
〜 理にかなった運動の探求 〜

  • 日時:2017年8月22日(火)13時 〜 24日(木)
  • 場所:流通経済大学 龍ヶ崎キャンパス
  • 世話人:竹田隆一(代表、山形大)、坂井伸之(山口大)
        柴田一浩(LOC、流通経済大)、牧琢弥(日本女子体育大)
研究会の趣旨

 剣道はじめスポーツにおける指導言語の多くは抽象的・感覚的であり、真の意味や科学的根拠が曖昧である。例えば、「タメ」とは何か、なぜタメが重要なのか、これまでの指導理論に科学的な説明はない。「力を抜け」と言われても、どのタイミングでどこの力を抜くのか、それはなぜかが示されなければ、改善しようがない。
 従来のスポーツ科学における研究方法は、「実験」と「シミュレーション(数値実験)」だけであったため、現象の背後にある普遍的な原理は何か、上達するためには具体的に何を改善すれば良いのか、という本当に知りたい点まで議論が進まなかった。そこで我々は、次の2つの方法を柱とする研究に取り組んでいる。本研究会でその中間発表と検討を行う。
  • 物理法則から演繹的に結論を導く「理論的手法」を採用する。モデルは最も単純な剛体棒から出発し、段階を踏んで複雑なモデルに移行することによって、科学的に確かな理解を積み重ねる。
  • 理論的に得られた結果を実践や動画分析で検証する。同時に、理論に基づいて従来の指導方法や練習方法の意味と合理性を検討し、改善すべき点を明らかにする。
【第6回研究会の話題】
 剣道では、大きく振りかぶって打つ「基本打ち」の練習を、初級者から上級者まで繰り返し行う。一方、実践の面打ちを観察すると、振りかぶりがなくコンパクトで、基本打ちとは全く異なる。最近、この2種類の型の面打ちをそれぞれ分析することにより、理論的には力学的な共通点と相違点、動画分析からそれぞれの型における熟練者と初級者の特徴が明らかになってきた。この両者の分析を比較検討し、「コンパクトな実戦的面打ちを習得する目的において基本打ちどのような意味があるのか?」「より効果的な練習法法はないか?」を検討する。
主な発表
  • 坂井伸之(山口大):コンパクトな実戦的面打ちを習得するために大きい基本打ちの練習は必要か?
            ー「多段階ブレーキ効果」と「シーソー効果」の視点からー
  • 竹田隆一(山形大):初心者の面打ち運動の習熟過程 −物理学的効果の視点からー
  • 井上あみ(山形大):物理学的視点からの初心者と熟練者の面打ち運動の比較研究
  • 柴田一浩(流経大):TBA
参加申込

参加は自由ですが、準備の都合上、できるだけ事前にメールでお知らせ下さい。
  • 記入事項: ご氏名・所属・専門分野・発表希望の有無<
  • 連絡先 : 竹田隆一 メール
本研究会の実績
  • 本研究会による主な研究成果(論文)
    • 坂井伸之・竹田隆一:武道・スポーツにおける科学的方法に対する誤解と理論研究の重要性、武道学研究 48(1), 35-41, 2015
    • 坂井伸之・牧琢弥・竹田隆一:武道・スポーツの基礎となる棒の力学:特に慣性力の重要性、武道学研究 49(1), 1-14, 2016
    • 竹田隆一・坂井伸之:剣道における「面打ち」運動の力学的研究、剣道ゼミナール(全国教育系大学剣道連盟)18, 25-36 (2016)

  • 過去の研究会

2017-8-6 更新